⑤瑕疵担保責任から契約不適合責任への変更
民法(債権法)の改正により、実務上の影響がある部分について新旧の比較や改正項目の概要、注意点を解説していきます。
旧民法においては、売買契約にもとづいて引き渡された特定物(例えば不動産)につき隠れたる瑕疵が存在した場合、買主は、債務不履行責任ではなく瑕疵担保責任に基づいて損害賠償請求や契約解除ができるものとされていました。また、損害賠償、契約解除いずれにおいても売主の帰責性は要件ではありません。契約解除は、瑕疵により契約の目的が達成できない場合に限り認められています。
改正民法では、目的物が特定物か不特定物かを問わず、契約内容に適合しない場合は、債権者は債務不履行責任として以下の請求をすることができるとされました。これを「契約不適合責任」といいます。
・追完請求
・代金減額請求
・損害賠償請求
・契約解除
「契約不適合責任」は、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」場合に問題となります。つまり、契約において、目的の内容や品質の基準など明確に表現しておくことがより重要になってきます。
次回では、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いをまとめたいと思います。