③債務不履行による解除の要件見直し
民法(債権法)の改正により、実務上の影響がある部分について新旧の比較や改正項目の概要、注意点を解説していきます。
旧民法においては、債務不履行を理由とする解除につき、債務者の帰責事由が必要とされていました。改正民法では、債務者の帰責性は要件ではなくなり、債務者の責めに帰すべき事由の有無にかかわらず解除が認められることになりました。これは、旧民法における「解除」が債務者に対する制裁的意味を含んでいた反面、改正民法の「解除」では債務不履行となっている契約から債権者を解放するという位置づけに変更されたことによるものです。
(催告による解除)
民法541条
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
改正民法541条の但書において、解除ができない場合について規定されています。ここでいう「債務の不履行が軽微な場合」についての解釈は、当事者の認識により「軽微」の判断基準が異なる可能性があるため、争いの生じる余地があります。
改正民法施行後においては、解除事由につき紛争を防止するために、契約書において具体的な解除条項を定めておくことが重要と考えられます。