· 

民法(債権法)改正②

②法定利率の見直し

民法(債権法)の改正により、実務上の影響がある部分について新旧の比較や改正項目の概要、注意点を解説していきます。

 

 

 

 旧民法では、法定利息(利息に関する約定が無かった場合に生じる利息)について、年5分(%)の利率とされていました。

 改正民法においては、変動制の法定利率が採用され、改正民法施行時点の利率は年3%とされました。この法定利率は3年に一度、見直しが行われます。

 

(法定利率)

民法404条(抄)

 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

2 法定利率は、年3パーセントとする。

3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を1期とし、1期毎に、次項の規定により変動するものとする。

 


 

 法定利率の基準時については、注意が必要です。法定利率は3年毎に見直しがなされ、変動する可能性があります。そこで、改正民法では「利息が生じた最初の時点」を、適用する法定利率の基準時としました。

 例えば、売買代金の支払いが遅れたときは遅延損害金が発生しますが、遅延損害金に関する約定がなかった場合、法定利率により遅延損害金を計算することになります。この場合、適用する法定利率は、売買代金の支払いが遅れた時点の法定利率です。継続的に金銭債権が発生・消滅するような契約関係においては、時期により適用される法定利率が異なることとなり、債権管理上煩雑となります。このような問題を回避するため、あらかじめ遅延損害金に関する約定をしておくことが重要です。